静内アイヌ協会からの依頼を受けて、同協会が2024年7月23日付けで「新ひだかアイヌ協会」あてに送付した公開質問状を、このウェブサイトに掲載します。(2024年10月1日、アイヌ政策検討市民会議)
2024(令和6)年7月23日
新ひだかアイヌ協会
会長 大川 勝 様
外 役員一同 様
公開質問状
静内アイヌ協会 会長 高月 勉
当協会は、2019(令和元)年アイヌ施策推進法が成立した年の9月に静内地区の遺骨返還を目指し、創立しました。同年、ウポポイの慰霊施設に9大学保管のアイヌ遺骨(計1,574箱)が搬入され、2020(令和2)年4月民族共生象徴空間(ウポポイ)が開業しました。同年、7月17日国北総第41号「慰霊施設において管理するアイヌ遺骨等の返還手続等に関する要綱」が公表され、2023(令和5年)、恵庭アイヌ協会が返還申請をし、慰霊施設からの返還を初めて実現しました。(今年度、小樽の団体が遺骨返還申請し、現在返還に向けた手続きが進められています。)
また、今年1月に北海道アイヌ協会と3つの学会が研究倫理ガイド案を公表、明治期以降の遺体や副葬品、盗掘や遺族の同意を得ていない収集資料を研究利用しない、慰霊施設に集約された遺骨は研究対象としないことなどが盛り込まれました。
4月には、日本文化人類学会が過去に行ってきたアイヌの人たちの研究について真摯に反省する謝罪文を公表しています。今こそ、無縁仏として大学の研究者等が掘り起こし、持ち去った静内地区の遺骨を取り戻し、「土から生まれ、土に還る」というアイヌ民族の死生観、尊厳を取り戻す時と思い、当協会は決断しました。
しかし、同じ地域に住むアイヌ民族として共生社会をめざす事には異はなく、北海道アイヌ協会に属する貴協会の意向について下記質問に、誠意あるご回答を同年8月25日までに文書にてお願いします。
尚、これは公開質問状である事を申し置きます。
記
以上
追記
この公開質問状は、「誠意あるご回答を同年8月25日までに文書にてお願いします」と結ばれていますが、高月勉・静内アイヌ協会長によれば、回答期限から1カ月あまりが経過した2024年9月30日現在、先方からの回答書は届いていません。
静内町(旧三石町と合併して現在は「新ひだか町」の一部)は、北海道大学医学部による昭和時代のアイヌ墓地発掘・遺骨収集事件で、最も大きな被害を受けた地域のひとつです。同大学が静内町内の複数のアイヌ墓地から掘り出した遺骨は、ゆうに200人分以上。2017年、日高地方のアイヌたちでつくる「コタンの会」が、北海道大学と新ひだか町を相手取ってこれら遺骨の地元への返還を求める訴訟を起こしましたが、解決を見ませんでした。
半世紀にわたって大学構内に留め置かれてきた遺骨は、2019年末、新設の国立民族共生象徴空間(白老町)の「慰霊施設」に再移送され、故郷・静内への返還の目途も立たないまま、現在にいたっています。(アイヌ政策検討市民会議運営委員会)
