チカホで実施された、アイヌ民族に関する歴史を歪曲し、尊厳を毀損するパネル展に関する質問状

2025 年11月25日

 

秋元克広・札幌市長様

市民文化局 市民生活部 アイヌ施策課御中

 

アイヌ政策検討市民会議

代表 ジェフリー・ゲーマン

私たちアイヌ政策検討市民会議は、アイヌ政策のありかたについて議論し、その成果を広く発信し、政府等にも提言している、当事者であるアイヌ民族を含む非営利の市民グループです。9月16日にチカホ(正式名称は「チ・カ・ホ [札幌駅前通地下広場]」)で実施された、「アイヌの史実を学ぼう!」と題した、日本会議によるパネル展示について、事前に情報を得て、9月3日付でチカホの利用を許可しないよう求める要望書をお送りしましたが、利用許可が下り、情報通り実施されてしまったことを遺憾に感じています。つきまして以下のお尋ねに関し、秋元市長並びに担当部局としての認識をお示しいただくようお願いします。

 

 

<1>展示されたパネルの内容について

 

事前に複数の団体から内容を問題視し、不許可とするよう求める要請のあったパネル展について、札幌市として実際に現場で内容を確認したのでしょうか? パネルに書かれた歴史認識について、どのようにお考えでしょうか?

 

 私たちは、「至れり尽くせりの北海道旧土人保護法」と題したパネル一つをとっても、1898年の帝国議会における提出理由(「北海道旧土人」は、内地移民の進出にともない「日ニ月ニ其活路ヲ失ヒ、空ク凍死ヲ待ツノ外為ス所無キ観アリ」=引用は榎森進著『アイヌ民族の歴史』から)にはっきりと示されている、アイヌ民族が和人による開拓の進展により生活基盤を奪われ、困窮に直面していたという当時の状況とはまったく相いれない、ぎりぎりの救済政策(それ自体が和人への同化を強いるものだという批判はありますが)を優遇措置と言いくるめる歴史の歪曲と言わざるを得ないと考えます。こうした歪曲は、困難を乗り越えて今も民族としてのアイデンティティーを持ち続けているアイヌの人々の尊厳を著しく傷つけるだけでなく、あえて「優遇された」という誤った歴史を喧伝することでアイヌ民族に対する差別や憎悪をあおるものだと考えます。このような認識についてはどのように受け止められるでしょうか?

 

 また、もしそれぞれの質問について見解を示せないのであれば、その理由をお知らせください。

 

 <2>再発防止策について

 

 上記のように、実施されたパネル展は、アイヌの人々の尊厳を傷つける内容であることに加え、それが、和人による都市整備より前にアイヌの人々のコタンがあり、今も多くのアイヌの人々が暮らす札幌という街で実施されたことで、まさに郷土の歴史に関する誤った認識が、誰もが行き来できる公共の場で公然と提示することが許される街であることが広く知られる結果となってしまったととても残念に思います。

 

 つきましては、今後、同様の内容であると考えられるパネル展示や類似のイベントに関し、実効性のある新たな規制を検討されているかどうか、検討されているのであればその大まかな方向性についてお答えください。

 

 ちなみに私たちは、アイヌ施策推進法第4条の差別禁止の規定を実効あるものとするための新たな条例の制定や、複数のアイヌ民族団体の代表と、それらの団体が推薦する学識経験者を含み、それらの人々の意見が最優先されるようなルールで運営し、アイヌ差別が助長されたり民族の尊厳が毀損されたりすることのないよう事前にチェックする機関の設置など、さまざまな取り組みがあり得ると考えています。

 

以上、12月19日までにお答えを戴ければ幸いです。お答えに関しては、広く市民にも論議を呼びかけるため、公表する予定であることをあらかじめお知らせしておきます。それでは、年末に向かうご多忙のところ恐縮ですが、アイヌ施策推進計画で「アイヌ民族の誇りが尊重されるまちの実現」をうたう自治体としての誠意ある回答を、どうかよろしくお願いします。